本研究では、まずこれまでに開発してきた「乳幼児アレルギー発症予測モデル」の機械学習の予測アルゴリズムのプロトタイプを、国内及びグローバルに研究者コミュニティに向け発信し、利用を促します。
そこで収集したデータは本研究でも共有し、追加データでモデルやパラメータの調整を行って機械学習の予測精度を向上させ、改良版を作成する。データが追加される度に改良し、随時最新の知見を公開する、このプロセスを反復するアジャイル型アプローチによって「完成版」に近づけていく。完成版の普及、定着を通して社会実装を実現します。
【目的1】
「乳幼児アレルギー発症予測モデル」を継続的に改良するプロセスを反復するアジャイル型アプローチによって「完成版」に向けて進展させます。
【目的2】
プロトタイプから改良版・完成版までの過程を、国内及びグローバルに発信することによってモデルの認知と利用を促進し、普及を図ります。普及と定着を通して社会実装の実現を目指します。
【本研究の位置づけ】
「乳幼児アレルギー発症予測モデル」によって、乳幼児のアレルギー発症を機械学習で予測可能になるとともに、モデルが予測できる対象者が増え、異なる背景を持つ対象者でもアレルギーが簡単に予測できるような平等な医療の恩恵を受けられる可能性に寄与します。
その結果、医療費の負担も軽減できる可能性があり、社会的不公平の是正に寄与できることは、公衆衛生看護学的に大変有意義であると考えています。
本研究の達成方法:乳幼児アレルギー発症予測モデルの構築
現在、以下の方法にて集まった肌画像のデータは随時解析を行っており、データ収集期間中ではありますが、現段階のプロトタイプはできています。
■ 生後1か月〜2歳の乳幼児を対象とし、参加者は週1回頬と頸の肌画像を送る。アレルギー診断されたら報告する。
■ 解析:全画像のうち、80%は学習用データとしてモデルを作成し、残りの20%のデータをテスト用とし、一人の研究対象者の画像が分割されないよう考慮した上で交差検証する(LOPOCV: Leave-One-Person-Out Cross Validation)。判定結果とあらかじめ医師が判定した
診断の一致割合を精度として繰返し学習を行い、最も精度が高いモデルを採用する。
「オープンソースプラットフォーム」とは、乳幼児のアレルギー発症予測モデルの予測アルゴリズムを含めた研究手法をグローバルに研究者コミュニティに向けて発信、利用促進、改良版公開し、常に最新の知見を提供するためのオンライン環境のシステムを指す。
本webサイトでは、プロジェクトに賛同し、参加協力いただける研究者の方を募り、情報発信いたします。実際に参加いただける研究者、被験者の方には、専用のアプリケーションを配布し、画像提供や研究データの取得などを可能とします。
本研究のプロモーション活動として、オープンアクセスジャーナルで論文を発表するとともに、国内外の学術集会で周知いたします。本研究に関心を寄せ、同様の研究を別の地域や人種で実施したいと申出があった場合、予測アルゴリズムを提供します。条件として、当該プロジェクトで取得したデータを本研究でも共有していただきます。